人工内耳
人工内耳は聴覚(聞こえ)という感覚に対して初めて実用化された人工臓器です。
2004年12月当院に人工内耳センターが設立されました。人工内耳装用患者さまのリハビリをはじめとするケアを専任の言語聴覚士が行わせていただきます。
人工内耳は補聴器ではありませんので、人の声などがそのまま以前聞こえていたように聞こえるものではありません。これになれるために聞き分けの訓練(リハビリテーション)が必要です。
リハビリテーション(音を聞き分ける訓練)によって回りの人との会話が可能になり、家族や友人とのコミュニケーションがうまく行くようになります。人工内耳を入れた人の中には、電話での会話も可能になった人がいます。
内耳機能の障害で音が全く聞こえなくなった人に、聞こえを取り戻すための装置です。
事故による外傷、髄膜炎、抗生物質などが原因で失聴された方で、次のような適応基準を満たしている人です。(詳しくは医師の診断をお受けください)
わが国の人工内耳適応基準
- 小児例
- @ 2歳以上とする。ただし、先天聾では就学期までに手術されるのが望ましい
- A 両側とも100dB以上の高度感音難聴者でかる充分な観察期間、補聴器を装用しても音声による言語聴取、表出の面でその効果がほとんど見られない場合
- B リハビリテーションおよび教育のための専門の組織的スタッフと施設が存在すること
- 成人例
- @ 18歳以上とする。ただし、先天聾の成人例では音声言語の理解の面での効果が乏しく、非使用者となる可能性がある
- A 両側とも90dB以上の高度難聴者で、かつ補聴器の装用効果がほとんど見られない場合
次の3つの機器で成り立っています。
- 1.コクレアインプラント(手術により耳の後ろに埋め込む。スピーチプロセッサーから磁気で音の情報と刺激するためのエネルギーの供給を受け、内耳の神経を電気的に刺激する装置。)
- 2.スピーチプロセッサー(ヘッドセットにあるマイクから音を記録し、これをデジタル信号に変換してコクレアインプラントに磁気的に供給する。またコクレアインプラントを動作させるエネルギーも磁気的に供給する。)
- 3.ヘッドセット(マイクと、コクレアインプラントへ磁気的に情報とエネルギーを送る送信コイル)
- 1) スピーチプロセッサ(人工内耳音声処理装置)の調整
術後約7〜14日後に音入れ(人工内耳が聴こえるように操作すること)をします。人工内耳使用者の聴神経の電気刺激に対する反応を基にプログラムを作成します。これは、主観的方法なので何度か調整する必要があります。また、体調、薬物使用、精神的状態に影響を受けますし、電気刺激に対する反応は個人間で大きく異なります。各自の持つ能力を最大に活用できることを目標にプログラム作成を行いますが、聞こえ方にはかなりの個人差があります。
- 2) スピーチプロセッサ装用による聴覚活用の指導と評価
人工内耳による聞き取り能力は個人差が大きいため、指導は通常個別で行います。個人によっては、装用1ヶ月で電話が可能な人もいますし、装用後、数年経過しても言葉の聴覚理解は難しいという人もいます。聞こえの状態については語音の聞き取り検査を利用して評価し、その結果を指導に生かすようにしております。聴覚活用の指導は、会話や文章のような教材を用いた総合的な聞き取りと、一音の違いを聞き分ける分析的な方法をバランスよく行うようにしています。また、日常生活の場における聞き取りの環境を整えていく指導・助言も併せて行います。